『地獄でなぜ悪い』
CannesロゴTを着た平田(長谷川博己)と、黄色のトラックスーツを着た佐々木(坂口拓)の喧嘩シーンが圧巻だった。高速演説野郎とアクション馬鹿によるこの舞台劇丸出しなバトルがマジで熱すぎるパンチラインの応酬。
「何が平成のブルース・リーだ!お前、俺いくつになると思う?もうじき30だよ30!映画愛とかで渡って来れたのは25とかまでじゃねえか!」
「俺はたった一本の名作が作りたいだけなんだ!この世界にはくだらない映画監督が五万といる!何本も何本も作って家を建ててる馬鹿!どうでもいい映画ばっか作って金をもらう馬鹿!俺はそんなのは嫌だ!」
全編血糊とギャグ尽くめの演出だがこのシークエンスだけ毛色が違う。挫折と夢、現実と厨二、カンヌとブルース・リー。この青くてイタいどうしようもなくボンクラな構図には弱くどうしても泣けてしまう。
佐々木を演じた坂口拓はこの映画を最後に俳優業を引退しているという因果に少し引きつつ、長谷川博己を知る。全く知らなくて誰だこの人はとか思ってたら結構売れてるっぽかった。
「いつか来るだけで今日じゃねえんだ」
「それが今日かもしれない!」