『アリスのままで』
ジュリアン・ムーアが若年性アルツハイマーに罹ってしまう難病モノ。
あたりまえだが、とにかくジュリアン・ムーア率が高くて最高である。やはりベッピンなオバハンであるが、この人は昔から魔性の老け感を纏っていたため、その存在を知って以来ずっとベッピンなオバハンのままである。実際の年齢がいくつかは知らない(役では50歳)。
アルツのアリスとその家族のドラマで、実際まあこうなるだろうなあ、というリアルな展開というか人間模様が描き出されており、バカみたいな感動搾取映画にはなっていない。病状はイケイケドンドンで進行するため見ているこちらの気分も加速度的に落ちて深刻化する。アリスの良かった頃の描写が少ない分だけまだ救いか。
夜眠れず、堪らず夫に告白するシーンで見せつける泣きスキルは最高だ。『マグノリア』でも見せたこの泣きは何度見ても本当に最高。
アリスが言葉や記憶を失くしていくと共に、家族、つまり夫や子供達それぞれの立ち位置がシビアに描き出されていく。物語は決して明るくはない現状を映して終わるが、強力にエモーショナルな、これ以上ない最高な終わらせ方には感服するしかなかった。