『フォックスキャッチャー』を観た。ここ最近観た中では一番良かったかも。くそミニマルに展開する不穏演出の中で、カレル、テイタム、ラファロ三者三様の最高にマニアックな芝居を得て何もかもが完璧にスポッと嵌ってしまったような極上の病み上がり作品になっている。富と権力を手に入れたはいいが愛して止まないレスリングに取り組む自分を全く認めてくれない母親を振り向かそうとアレコレ手を尽くすも冷徹な視線と言葉でその承認欲求をことごとく唾棄され続けるデュポンのコミュニケーション不具っぷりが滑稽で痛くて切ない。ていうか、そんな明らかに病みきっているパトロンに頼り縋るしかないしがないダメマッチョ代表のマークどんだけっていう。そしてこんなにもキモい二人の絡みが大半を占めるこの映画がまた素晴らしく良かったというのだから、これはなんということだ。とりあえず、キチガイが暴発する映画は最高だ。
