2014-05-17 『シークレット・サンシャイン』 映画 『シークレット・サンシャイン』を観た。主演のチョン・ドヨンが良い。久しぶりに見応えのあるマッドスキルで、メンヘラ、ではないけど衰弱した女性の躁鬱状態のあの感じが真に迫っており秀逸。その周りを時にストーカーのように、時に太陽のように、時に『シックスセンス』のブルース・ウィリスのように、ソン・ガンホがあの顔でしつこくフレームインし続けるというのが一貫した基本構図。監督のイ・チャンドンは、誰かの救いは誰かにとっては絶望となる、といった宇多田ヒカルの歌のような観点から、神または宗教家が使う“調子のいいフレーズ”の論理矛盾を問い詰めたりする。かといってそれやそれにすがる人たちにトドメは刺さず、胡散臭さを描くと同時に居場所を残してもいるバランス感覚がリアル。象徴的なラストのカットも巧みで、これでいいのではないか、と少し大人な気分にさせられる、とても罪な、因果系映画だった。(メモ:これはドロップキックなしのやつ)