WHO KILLED THE WORLD ?

基本的に映画鑑賞メモ。その他諸々。

『スポットライト 世紀のスクープ』

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古臭い因襲と惰性からなる保守的な権威組織による下劣極まりない罪咎とその隠蔽工作そして不腐しきった制度を、正しい側に身を置く決意を持ち、追求し暴き世に晒したボストン・グローブ紙の取材チームの話。テーマはエグいが作りはドキュメンタリーっぽい真摯かつ地味な仕上がり。この国ではいよいよ末期的症状が見られるジャーナリズムの理念にフォーカスしたただただコンシャスな、米国の志の作品。

 

『アイアムアヒーロー』

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隣の席の母娘タッグがファーストゾンビのシーンで「えっ…こういうやつなん?…」と言って顔を手で覆い始めた時はどうしたものかと思ったが、シッチェスや秘宝で絶賛される類の和製ゴア物件にかなりのイオン客が入っていたのでスプラッター隠しマーケティングがとてもうまくいっている成果なのだろう。シネコンでかかるメジャー系邦画でこれだけエクストリームな人体破壊描写が連続するものがいまだかつてあっただろうか。まさかカウンターのフルスイング頭部破壊が見れるとは思っていなかった。ゾンビが奇形っぽいデザインで躊躇ないフルスイングや振りおろしもありヒルズ・ハブ・アイズを彷彿させるとても爽快なゴア描写になっていた。タクシーはあんまりだったが、正面衝突クラッシュや良いタイミングの轢殺など車使いもカッコ良かった。ロッカーでの妄想シミュレーションのループはフレッシュ。ただやはりあんまりなところも多かった。「シビル・ウォー」直後だったため編集が異常にまどろっこしくかったるく感じた。前半の有村架純パートが要らなすぎる。というか最後まで有村架純が荷物だったのにはビックリした。有村架純は要らなかった(若春子は最高)。主人公の掘り下げはうまくされていて感情移入もスムーズにでき成長物語としてかなり良い出来だと思うが他のキャラクターがあまりに雑すぎて少し残念だった。何故かクラシックをかけるサイコっぽい奴や何故かタフでラフな看護師の人物描写に有村架純パートの全ての時間を当てれば中途半端な籠城ドラマももう少しなんとかなったような気がする。ラストもよくわからんが、そもそもの行動原理が2ちゃんの書き込みなのでまあどうでもいいか。

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』

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まず、ルッソ兄弟最高。色んな意味でタクサンの要素をめちゃ上手いことまとめて仕上げてきやがった感。素直に凄いなあと思った。今作のアングルとマッチメイクの妙味を堪能するためにはMCUリテラシーを要するが、単純に試合がめちゃくちゃ面白い(←完全にプロレス目線)のでそんなものはなくてもこれは全然イケるクチのやつだ。これほどワクワクしたアベンジャーズ興行はない。国(会社)に飼われる犬路線で良しとする正規軍と、それはダサすぎると抵抗する維新軍(反選手会同盟でもニューリーダーでもUWFでもいいが)とのイリミネーションマッチが盛り上がらなかった試しなどない。殿下とバッキーのアングルなどは凄い良かった。団体戦の中の個人的な確執パートは重要だ。トニー・スタークは心配だ。心の太陽ケアが必要であろう。それにしても、同じテーマを扱いながら太鼓サントラのバトルしか見せ場がなかったDCのBM🆚SM興行の不憫さは相当なものだ。かわいそうだ。既にその歴史は黒くなっている。明暗とはこのことか。